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床上手な花魁


喜多川歌麿『願ひの糸ぐち』より

「床上手」には3つある

人気の遊女というのは、もちろん見た目が美しい女性でした。
ただ、それとは別にもうひとつ、床上手な遊女も人気になりました。

床上手には、3つございます。
1つは、男性のお相手をしているときに、良い声で泣く事。
2つめは、よく濡らしてしまうこと。
そして3つめは、性器そのものの感触と言いましょうか、男性のものを締めつける具合の良さです。

では、そんな床上手な女の描かれた画を、喜多川歌麿の作品『願いの糸口』の中から1枚ピックアップして、書き入れをご紹介いたします。

画について

高級遊女である花魁と、その情夫との交わりが描かれています。

この花魁は、床上手のなかでも、「良い声で泣く」ということで人気のある花魁です。

男は、こんなことを言っています。
「たくさんのお金を持って、花魁と堪能するまで交わってみたい。人の噂によると、お前は男のものを受け入れると涙を流し、良い声をあげて泣くと噂だね。このすばらしい肉体を持った上玉の女に涙を流されたら、男冥利に尽きると言うものだ」

すると花魁は、甘えた声で答えます。

「どうか、どうか、もっときつく突いてくださいませ。あなたの思う存分に、私を犯してくださいませ。あなたに私の泣きをお聞かせいたします。お金があって遊び馴れた男の方のモチモノよりも、愛するあなた様のような勇ましいモノのほうが……私にはこたえられないのです。できることなら、ずっとずっと、あなた様と、こうして抱きついたまま、千年でもでも過ごしていたいです。でも現実というものは、何かと思い通りにはいかないものですね」

そんなことを言っています。

書き入れ原文

情夫「どうぞ壱万両も金をもつて、おいらんのぼぼをたんのうするほどして見たい。人のうハさにやア、ぬしハとこでなくということだが、此ぼぼのあじのいいうへに、なかれちやアたまらねへ」

花魁「モツトきくつつきたつてくんねへ。いまになきだしてミせやふ。かねのある通人のまらより、ぬしのやうないさみのまらが、いつそおいしうおつさアな。ならう事なら、ぬしとかうだきついて、千年ばかりいたい。ままならぬ浮世とやらで、いつそじれつとうおつす、ヨウー」

中野愛梨コメント

女の喜びの裏側には、いつでも切なさとか、悲しみとか、涙のようなものが、あるような気がいたします。そのことを、歌麿は、すごくうまく表現しているなぁと感じました。

絵師紹介:喜多川歌麿

二百年続いた江戸時代のど真ん中、1753年に生まれた。出生地は不明だが、活躍したのは江戸(住まいは根津)。役者絵や美人画などで生計を立てた。狩野派鳥山石燕のもとで学び、勝川春章、北尾重政、鳥居清長などの影響を受け華麗で緻密な作品を描いた。

彼は遊女、花魁など無名の女性ばかりを描いたとされる。だが、当時の流行画家歌麿のモデルになると、瞬く間に女性の名は江戸に広まったという。江戸幕府は世を乱すものとしてたびたび制限を加えたが、歌麿は屈せず、美人画を描き続けた。

流行の先端を走りつづけ、享年五十四歳(1806年)。死に水は、歌麿らしく茶屋の娘がとったとされる。墓は世田谷区烏山の専光寺にある。

耳であじわう《艶声春画》

当記事に掲載したように、《艶声春画》イベントでは、春画の解釈や書き入れなどを、耳で聴いてわかりやすい言葉で解説したり朗読したりしてゆきます。

お仕事帰りなどに、しっとりした艶声のひとときをお過ごしください。

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